精神医学

過去と今

昨今マインドフルネスが流行っているが、マインドフルネスの本旨である「今、この瞬間を大事にする」というフレーズは、今以外、つまり過去や未来のことばかりくよくよ考えて辛い人が多いから、巷で普及するのだろう。 過去や未来のことに思考を巡ら...
精神医学

世界の見え方と気分(mood)

抑鬱状態の方はよく、「生きがいがない」「生きる価値がない」「生きる意味・目的が分からない」と仰る。 その言葉には、「自分は人生に生きる意味を見出すことができないから抑うつとなっていて、生きる意味をもし見出すことができたら気分が晴れ、...
精神医学

心の病と身体の痛み

精神科の患者さんたちの中には、心の症状とともに、身体の症状を訴える方が少なくない。心の病と身体の症状に関する自論を記したいと思う。 まず、身体の症状は非常に重要な情報である。医師も、患者さんも、身体の症状を軽視してはいけない。 ...
精神医学

ヴィパッサナー瞑想③

今回は、ヴィパッサナー瞑想の勉強を通して得た、自分なりの考察を記そうと思う。 まず、「苦」に関して。 ブッダは、心の反応はすべて苦であると喝破した。嫌悪という反応が苦であるのはもちろん、心地よいという反応ですら、それが積み重な...
精神医学

精神科診療のジレンマ

日頃精神科外来で患者さんを診る中で、たまに、「この患者さんは精神科を頼らない方が良いだろう」と思うことがある。しかしそれをそのまま患者さんに上手く伝えることが出来ず、もどかしい。そんな葛藤をご紹介したい。 仕事がつらくて精神科を受診...
精神医学

ヴィパッサナー瞑想②

ウィリアム・ハート氏の「ゴエンカ氏のヴィパッサナー瞑想入門」(春秋社, 1999/11)を繰り返し通読し、だいぶ理解が深まった一方で、やはり分からないことも多い。 現状の理解を、一度まとめようと思う。 ・渇望や嫌悪の心の反応は...
精神医学

ヴィパッサナー瞑想①

ウィリアム・ハート氏の「ゴエンカ氏のヴィパッサナー瞑想入門」(春秋社, 1999/11)という本に最近はまっている。学生の頃から尊敬していた「サピエンス全史」(河出書房新社, 2016/9)などで有名なユヴァル・ノア・ハラリ氏がその著書の...
精神医学

本能・不安・幸せに関する考察

精神科診療を行なっていると不安や恐怖という感情がいかに人の行動を支配するか痛感させられる。程度の差こそあれ、自分の行動も、ほとんど不安と恐怖、もしくはそれらを避けるための行動として理解できる。 進化心理学の主張を大雑把にまとめると、...
転科

精神科を辞める同期

一緒に入職した同期から、3月一杯で精神科をやめると、突然告げられた。 確かに彼は入職当初から、時折キツそうな表情をしていた。 しかし辞めたいと思うほどとは思っていなかったから、少し驚いた。 自分は外科から精神科に転科して...
転科

転科の相談

外科に進んだ後輩から、仕事が辛すぎて休職しようか、医局を変えようか、転科しようか迷っているという相談を受けました。 彼は真面目な人間なので、頼まれたら断らず、どんな小さな仕事も丁寧にこなしていたのだと思います。 外科系の科は、...