消費ではなく創作を

精神医学

改めて自分が文章を書くのが好きになった経緯を振り返ってみた。

高校2年生の時、なんだか将来が見えなくて、自分がやりたいことも分からなくて、やることなすこと全部中途半端だった時に、その時考えていたことや感じたことをありありとノートに書いてみたら心が晴れた経験から始まった。

当時は手で書いていた。

パソコンで書いた方が早いが、思考はそんなに早くない。

手で書かれる文章と、思考のスピードが釣り合って、その方がクリエイティブになれる気がした。

今でも悩みに悩んだ時は手を使っている。

ノートに書き出したところで問題は何も解決しないけれど、それで気が晴れるならそれでもいいやと思った。

問題は山積みで、問題を解決することも重要だけれど、まずその前に、問題との向き合い方、距離の取り方、態度・姿勢の方が重要であると思う。自分にとっては困った時苦しい時に「文章を書く」という立ち向かい方が、まず心の安寧に貢献している。

欲しいものややりたいことを考えている時はワクワクするし、それが叶った瞬間にテンションが上がるのは間違いないが、それは穏やかに続く幸福感・充実感とは違う。でも文章を書いている間は、もちろん狂いそうなほどワクワクすることはないけれど、地に足のついた、温かみのある安心感のようなものを感じている。

ストレス発散の方法として、消費を習慣にしている人は多い。消費を促す情報が溢れすぎているから仕方ないとは思うけれど、本当に消費が幸せに繋がっているか自問すべきだ。創作を習慣にする方が、心が安定する人は多いのではないだろうか。

いきなり創作しろと言われても困る人が多いとは思うけれど、とりあえず思っていることや感じていることを文章に書いてみるというのは、誰にでもできる創作だ。精神科の外来でも、うつ病や神経症、人格障害の多くの人にお薦めしているやり方である。

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