ぼーっとする練習

精神医学

依存症や拒食症、うつ病や不安症など含め、全ての精神疾患を患う方へ。
また、病院に行くほどではなくとも、精神的に病める全ての方へ。

「ぼーっとする練習」は、マインドフルネスや瞑想の考え方の初歩の初歩です。

「ぼーっとする」ことは、できる人には簡単にできますが、できない人は数秒もできないでしょう。子供騙しに聞こえるかもしれませんが、この「ぼーっとする」という心の技術は、精神的な問題を解決する大きな可能性を秘めています。

「ぼーっとする」とは、言い換えると、
・1人でいても、穏やかに、心地良く過ごせる
・スマホを触っていなくても、ソワソワせず、満ち足りている
・悩みや不快な感情から解放される
・考えたくないことを考えないで過ごせる
・頭の中が穏やかで、不安・恐怖・寂しさ・欲求などが遠くの方で静かにしている
・心のザワザワが消えて、静かで穏やかになる

などとなります。
方法はシンプルで、

①目を閉じて楽に座る
②ぼーっとする

となります。
詳しい説明をします。

①目を閉じて楽に座る
 最初は静かな部屋で行うと良いでしょう。慣れれば目を閉じなくても、立っていても、いつでもできます。例えば満員電車の中でもできるようになります。

②ぼーっとする
 なるべく何も考えず、ぼーっとします。普段ぼーっとする習慣のない方は、ぼーっとしようとするとすぐに、「スマホを触りたいな」「この時間に洗濯機を回しとこうかな」「明日のプレゼンどうしよう」「生きる意味ないなぁ、自分のこと嫌いだなぁ」「食事どうしよう」などと、雑念が止まらず溢れ出てくると思うのですが、その度に「あ、雑念だ!」と気づき、雑念の続きを追うのをやめ、気を新たにしてもう一度ぼーっとしようとトライしてください。雑念を遠くから客観的に眺め、自然に消えるのを待つという感覚でもOKです。その時、呼吸を意識すると雑念に意識を奪われづらくなります。呼吸は、「吸う」と「吐く」を一つずつ、細かく意識するのがコツです。「吸ってるなー」とか「吐いてるなー」などとぼんやり考えます。頭の中で言葉にしてもしなくても良いです。難しければ、呼吸に伴って動くお腹や、鼻の穴の空気の出入りを意識しても大丈夫です。自分の呼吸に常に気づいていて、他のことが意識にのぼらない状態が理想的な「ぼーっとしている」状態です。ぼーっとすることを邪魔してくる様々な雑念、嫌なイメージ、衝動、感覚や気分は、つい延々と追っかけてしまいがちですが、「反応しない」「続きを追いかけない」と強く決意すると、最初は数秒かもしれませんが、決別できます。初めはごく短時間しかできないかもしれませんが、根気良く繰り返していると、徐々に楽でいられる時間が延びます。雑念とは、不快なこと全てであり、過去の嫌な記憶・自責感罪悪感・過食嘔吐リストカットなどの発作的欲求・死にたい気持ち・嫉妬・不安恐怖、など含みます。

今この瞬間の不快な心の有り様を、ぼーっとすることによって、数秒だけでも自分の意識の力で穏やかにすることができれば、後はそれを繰り返し練習することで、楽に過ごせる時間が増えていきます。今この瞬間の心の状態を良くすることの先にしか、穏やかな生活はありません。逆に、今この瞬間さえ上手く心の様子を整えることができれば、訓練次第で、常に小さな幸せを感じることができるようになります。

さらに深く取り組みたい方は、「ヴィパッサナー瞑想」の記事も参照ください。

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