一緒に入職した同期から、3月一杯で精神科をやめると、突然告げられた。
確かに彼は入職当初から、時折キツそうな表情をしていた。
しかし辞めたいと思うほどとは思っていなかったから、少し驚いた。
自分は外科から精神科に転科して、「天職に出会えた!」という気持ちであった。
精神科入職初日からそう思ったし、色々大変なことを経験した今でもそう思っている。
死ぬまでなんらかの形でこの仕事に携わっていたい。
精神医学という学問の面白さも勿論だが、仕事がちゃんと17時に終わって家に帰れるというのも大きい。
初期研修医や外科医のころは自分の時間を犠牲にすることが患者のためになると思っていた(思わされていた)が、今は自分を大事にする時間があるからこそ患者も大事にできると思っている。
話が少しずれたが、精神科は自分の天職だと思っているが、その精神科も実は人を選ぶようだ。
面白いし、時間的にも楽だし、ストレスフリーだと思っていたが、やはり感じ方は千差万別。
自分の物差しで他人の仕事の大変さを測ってはいけないのだ。
体力的には楽な精神科だが、「患者との心の距離」に苦戦する医療者は多いのかもしれない。
医師ではなく医療者と書いたのは、患者から頼られすぎてメンタルを病む看護師の話を時折聞くからだ。
看護師は医師より患者との距離が近く、影響を受けやすいのだと思う。
必要なのは、時には「バッサリ患者を切り捨てる鈍感さ」だと思う。
患者の要求に全て応えると潰れてしまう。
時にはドライに冷たく対応する図太さが、結局長期に渡って患者を支えることに繋がる。
どんな仕事にも向き不向きがあるのだと学んだ。
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