自分の転科の経験に関して、友人や後輩から相談されることが度々ある。
転科自体に伴う不安とは別に、それを周囲に伝えることへの恐怖が皆強いようだ。
もちろん自分も、例外ではなかった。
転科を決意し、次の専攻医プログラムに申し込んだのは11月だ。
それまでは「本当に転科をするべきなのか」という自問自答に苦しんだ。
もちろん次の行き先が決まった途端に辞めてしまうという選択肢もあろうが、なかなか医局はすぐに辞めづらい。
自分は上司と相談し、3月までは残留して働き、4月から新しい科で働くことにした。
もし医局に残った場合でも、4月からは新しい職場になることが多いから、1-2月には次の病院がどこかという話題が必ずある。転科を予定しているのであれば、その頃に皆に伝えざるを得ない。
明らかに医局や業務に馴染んでいないのであれば別だが、多くの人は転科を決意したところで普段の仕事は真面目にこなすし、医局員や看護師さんともそれまでと変わらずに接するだろう。飲み会に行けばもちろんプライベートな話でもちゃんと盛り上がる。たとえ嫌いな上司がいようとも、仲の良い医局員は必ずいるし、転科を決意した理由は人ではないはずだ(良い人、悪い人は必ず全ての職場にいると思っていて、人で選ぶべきではないと考える)。
だからこそ、転科を伝えるのは辛いのだ。
「皆を騙し、裏切ったことになるのではないか」という自責の念に駆られていた。
業務中の笑顔や、飲み会でのトークなど、こちらとしては何も嘘はついていないのだけれど、まるで全てが演技であったかのような、詐欺師のような気分になったこともある。
ただ結論から言うと、きちんと伝えたあとは多くの人に理解してもらったし、自分も楽になった。
もちろん全てのお世話になった人にうまく伝えられたとは思っていない。
信頼を失ったと思うこともあった。
それでも伝えたあとは、伝える前より楽になれた。
自分で自分の人生を本気で考え、自分で道を拓いたという実感は、何物にも代えがたい自信につながった。
スッキリと後腐れなく科を変え、なんなら転科後も前の医局と良好な関係を保つことには自分にプラスになるはずで、逃げずにきちんと伝えたほうが、後悔は少ないと思われる。
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