専攻医が転科をするうえで、病院の探し方を考えることは重要です。
なぜなら、初期研修医の時と比べ、時間も情報量も圧倒的に少ないからです。
まず、大学か市中病院か大きな二択があります。
自分はもともと自大学の外科医局に属していたため、転科先は市中病院を選びました。
「医局」に属していると病院を転々とさせられるし、人生の計画を自分で立てづらいと感じていました。
また専門医をとったあとの道もなんとなくレールで決まっており、そこに閉塞感を感じていました。
それでも医局にもメリットはあり、大きな組織に所属しているという安心感や、たくさんの関連病院を有しているため、勤務地や仕事内容の希望が叶うような病院にまわしてもらえる可能性があります。また、病院の当たり外れはあるものの、専門医を取る頃には良い病院も悪い病院も回るため、最低限の知識と経験は身につくだろうと思います。
一方「市中病院」は、勤務する病院を自分で選ぶわけですから、自由度が高いと言えます。医局ならではの大学の雑用や面倒な人間関係は軽減されます。一般的に大学病院よりも給料も高いです。専門医取得後の進路は自分で考える必要がありますが、その自由度が私には魅力的でした。しかし、「良い市中病院」を探すのは大変で、自分でゼロから情報を集める必要があります。
私は転科を決めた当初、医局・市中病院どちらかに決めることはせず、満遍なく探しました。
そこで利用した方法としては、
①病院見学・説明会への参加
②m3・民間医局・リンクスタッフなどの転職サイトへの相談
③友達に聞く
④学会HPに掲載されている専門研修プログラム冊子を読む
などがあります。
①病院見学・説明会への参加
見学や説明会への参加は必須です。顔を覚えてもらえますし、なにより病院の雰囲気がわかります。自分が専攻医として見学に来た初期臨床研修医を相手にすることも多々ありましたが、やはり良い部分も悪い部分も隠せないと感じます。その病院での研修が良いかどうか判断する上で、非常に重要な経験になるでしょう。転科を希望している旨を伝えると、誰々は元々何科で〜など転科者の話も教えてくれます。転科の情報はネットでは手に入りにくいので貴重です。ただ、見学は平日のみの受け入れが多く、仕事を休みづらい専攻医には辛いところです。こればかりは、上手くやるしかないと思います。
②m3・民間医局・リンクスタッフなどの転職サイトへの相談
これも、私にとっては非常に重要な経験となりました。結果的には自分で直接応募した病院に就職したのですが、転職サイトの担当者は転科における病院の探し方、面接で話すべき内容、今の病院の辞め方、メンタルの保ち方など、様々な有益な情報をくれました。転科の相談も多いみたいで、転科するうえでの困難など把握されていると感じました。転職サイトは基本的に病院からペイを得ているため、我々の利用は無料です。私は精神科への転科で、最初は新専門医制度にはのらず、指定医の取得のみを目指した転科を検討していたため、指定医のみ取得可能な病院を紹介してもらっていました。病院を紹介してもらうだけでも心の支えになりますので、ぜひともおすすめします。
③友達に聞く
転科する科ですでに専攻医となっている友人がいれば、相談しない手はありません。仕事をしているだけでその科に関する病院の情報はかってに入ってきます。少なくとも、「この病院だけは辞めとけ」みたいな話を聞き出して、活かすべきと思います。
④学会HPに掲載されている専門研修プログラム冊子を読む
新専門医制度の専攻医プログラムをもつ病院は、必ずこの冊子(学会のHPにPDFで掲載されている)があります。病院の特色、ローテーションモデル、給料のことなどよく読むと色々書いてあります。市中病院の場合は関連病院をみることでなんとなくどこの大学との関連性が強いかが分かります。私は将来的には自大学の精神科に入りたいので、程々に関連性のある市中病院を選んで見学にいきました。
コメント